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体験者レポート 

「人との繋がりを大切に」――こだわりの古民家で叶えた、自然の中の田舎暮らし

 
長野県から美作市へ移住された竹内様ご夫婦。市中心部から車で約20分、穏やかな時間が流れる緑豊かな地で古民家カフェを営まれています。
江戸末期に建てられたという家屋の築年数は、なんと170年!
古き良き部分を残しながら生まれ変わった古民家と、現在の暮らしについて取材させていただきました。

◆岡山への移住や、この物件に決めたポイントは?
ここに来る前は長野に居たのですが、元々は2人とも大阪出身なんです。実は、阪神大震災で被災をして大阪の家が住めなくなってしまって、津山市の加茂町の方で2年ほどお世話になっていたことがあるんですよ。その時に美作のことは少し知っていました。
大阪では料理をやっていた主人ですが、加茂に居た頃は林業の職に付いていて。でも「林業よりも自分のやりたいことを生かしたほうがいいのでは?」「ペンションとかやってみる?」と考え、知り合いの勧めもあって物件を探したんですけどその時は岡山で良い所が見付からず、ご縁があった長野へ行きました。長野を選んだのも岡山に来たのも「自然の中で田舎暮らしがしたかった」からです。
軽井沢で20年ほどペンションを経営していたのですが、家は賃貸だったものですから、家賃がかかるし、売上を上げていかないと大変だしで・・・私達も年になり、ゆっくりしたいなと思い、西日本が良かったのでこちらへ移住することに決めました。
この物件に決めたのは、まず、梁が昔のまま残っている『古民家』だったこと。また、裏に地続きの畑が付いていたことや、周りの山々の雰囲気も決め手でした。植林した山ではなくて自然保護された雑木の山なんですよ、そこが気に入りました。

◆実際に住まわれてから、ご苦労はありましたか?
苦労したことは特にないですね。田舎ですから当然、車での生活になることは承知していました。今はインターネットが普及していますので、お買い物とかも、自分の欲しいものをすぐ買えるから便利ですよね。実は私、通販が大好きでずっと利用してきましたので、全くと言っていいほど不便は感じていません。
ここは自然環境が良くて、緑に囲まれていて、静かだし・・・あと、住んでみて初めて知ったのですが、岡山は食材が豊かなんですね。もうそれが一番よかった!岡山県産のお肉に海の物、野菜はもちろん、果物も安く手に入るから地元のものでほとんど賄えちゃうんです。

◆お店をオープンしてから現在の暮らしについて教えてください。
バタバタとしている日もありますけど、お店は週に4日間だけなのでマイペースに営業しています。ここは人口の少ない地域なんですが、岡山市内からや、少し前に『よ~いドン!』という関西テレビの番組に取材に来ていただきまして、大阪や兵庫・京都などの近畿地方で放映されたことで「番組を見て来ました」とお越しになるお客様もおられますね。


▲古民家の面影を残す店内。静けさと木の温もりに包まれ、ついつい時間を忘れてしまいそう。

  
▲古民家再生の草分け的存在である長野県の建築設計事務所に設計を依頼し、地元の工務店でリフォーム。
 純和風の玄関に緑を眺められる窓際席、そして落ち着きのある広々とした空間は癒やしそのもの。

店に置いているこの薪ストーブ、営業中とか、日中ずっと焚いているので薪の消費量が激しいんですね。なので休みの日に、山をお持ちのご近所さんにお願いして、薪を調達させていただいています。皆さん快く「伐っていいよー」とか「ぜひぜひお願いします!」って(笑)。山のお手入れって大変ですものね。主人は林業をやっていましたから、木を伐るのは苦じゃないんですよ。


▲店内を暖める薪ストーブ。取材時は夏のため、肌寒い冬まで暫しの休暇中。

あとは離れを改造したいと思っているので少しずつ手を入れたり、地続きの農地でぼちぼちと畑仕事をしたり。まだなかなか育っていませんが、畑は自然農でやっています。去年の一番最初だけ、発酵腐葉土や米ぬか・遺伝子組み換えでない菜種かすなどを少し入れましたけど、肥料や農薬を全く使わない・その辺りに生えている雑草などを肥料にするという感じの、「外から持ち込まない」畑作りをしています。大阪に居た頃から自然農に興味があって、勉強会に行ったりもしていました。

 
▲きゅうりにえんどう・ネギ・とうもろこし・かぼちゃ・ミニトマトなどなど数多くの野菜が植わった菜園。
可愛らしい蕾や小さな実が見られました。

◆これからの夢は?
今の時代、スーパーやコンビニへ行けばお弁当でも何でも、安く手をかけずに食べられるようになっていますけど、その内容については「どうなのかな?」とずっと思ってきたんです。『地産地消』と言われていますが、旬の野菜やその土地のものを使い、いい器で盛り付けにも工夫を凝らした、家庭の料理より“少し良いもの”というか・・・「わぁ、素敵!」と思っていただけるような、体に良くて美味しいものを少しでも多くの方に召し上がっていただきたいです。そして「こういう料理の仕方があるんだ!」「この店に来てよかったな~」と思っていただけたらとても嬉しいですね。


▲野菜たっぷりの和膳・カスミハミ膳。
もち麦入りのもっちりとしたご飯に心も体も温まるお味噌汁、
そして野菜のシャキシャキとした食感が嬉しい。

▲食後のデザートにいただいたレモンアイス。
さっぱりとした味わいで甘すぎず、
ヨーグルトとジャムの酸味がアクセント!

◆田舎暮らしを考えている方へのアドバイスがあれば
『地域の方と仲良くし、地域に溶け込む』ことが一番じゃないでしょうか。都会だと近所付き合いをしなくても生活できるし、むしろ、「近所付き合いが嫌」ってこともあるんでしょうけど、やっぱり、人との繋がりの良さを大事にしてほしいなって思います。

●ランチ&カフェ「カスミハミ」
●営業時間:毎週金~月曜日の11:30~17:00まで
     (ランチは14:00まで・毎週火~木曜日は店休日)
●住所:岡山県美作市真神448
●電話:0868-75-3074
●Facebook:https://www.facebook.com/106466750794101/

 

【編集後記】
竹内様とお話ししていて驚いたのは、「岡山は食材が豊かだ」と仰られていたこと。岡山の印象として「温暖な気候」「災害が少ない地域」との話はよく耳にしますが、“岡山の食材”にも目を向けられたのは、食にこだわりのある竹内様ならではだったように思います。
人との繋がりを大切にする竹内様。その優しい思いは、「山野草のエキスをいただく」「深呼吸」の意味を持つ『カスミハミ』という店名にも込められているように感じました。
心身の健康を気遣った美味しいお料理が、この地域の味として長く愛されてほしいと願っています。
お忙しい中取材に応じていただき、ありがとうございました。(2020年7月取材)

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